1ページ半の物語
先日、ちょっとおもしろい外国の古い小説を読みました。専務から勧められたんですが、なんとたった1ページ半の短編です。ただ、この内容がなかなかに深い。ある青年が庭でとてもキレイな花を見つけ、誰かに渡したい気分になって花を摘むんです。そしてなんとなく、その向いに住んでいる知り合いのパッとしない女性に渡そうとするんですが、道路を渡る時に車の長い列が行く手を阻み、さらに通りがかりの老人の意地悪い視線が気になって、ふと思いとどまってしまうんです。そして「オレは何をしてるんだ、なぜ彼女に花を渡そうとしてるんだ」と思って花束を捨ててしまうんですね。ところが、その女性がたまたまその光景をアパートから見ていて、「もし彼があのキレイな花束を渡しにきてくれるなんてことがあったら素敵なのに。まあ、そんなことされても恥ずかしいかな」と思いながら、2人の気持ちがすれ違っていくという短い物語です。もし彼が花束を渡していたら2人の恋は始まっていたのかもしれませんが、たった一歩前に進むことで人生が変わることがあるのに、多くの人がその小さな一歩ですら踏み出せないことがあると感じさせてくれる物語でした。小説のタイトルも作者も失念しましたが、短いながら考えさせられた物語なので、この小説がいつかどこかでみなさんの目にふれることがあればと思っております。
2014年11月25日 19:07 | カテゴリー:逸球入魂コラム