自分で行かんかい
少し前の話になりますが、この夏、高校の女子硬式野球の決勝戦が甲子園球場で開催されましたね。この歴史的な出来事に「嬉しい、うらやましい、そしてちょっぴり悔しい」、私の周りでもそんな感想が多かったですかね。きっとみんな、やっと女子が甲子園でプレーができるという喜びと、自分の時代に甲子園を目指したかったという複雑な気持ちがあったと思います。
さて、このニュースを聞いて職場の女性の先輩が、野球マンガ「タッチ」の名ゼリフ『南を甲子園に連れてって』を出してきて、嬉しそうにこう言いました。「今はもう、女子も『自分で甲子園に行かんかいっ!』っていう時代やね」なるほど、これは小気味いい。もちろん、今の時代であれば南ちゃんもきっと自分で甲子園を目指したことでしょうけども、当時はやはり野球界では女子に対する門戸が極端に狭かったです。女子だからソフトボールが当たり前とか、硬球で危ないから女子はダメとか、そんなよくわからない理由ですよね。私は柔道出身なので、複雑骨折とか、腕が反対に曲がるとか、そんなことが珍しくないような、まあまあ危ない環境でやっていたので「女子が野球をするのは危ない」という理屈がさっぱりわかりませんでした。むしろ柔道界はとても男女フラットな関係で、きちんとそれぞれが確立された競技になっていましたよ。女子も武道館で普通に試合してたしね。甲子園が神聖化されすぎたせいなのか、なぜ野球だけが男女別の競技にできなかったのかは今でも不思議には思いますが、なにはともあれ、女子野球が新しい一歩を踏み出したことは本当に喜ばしいことです。このことは男女含めて、たくさんの方々のご尽力によって実現したことは間違いないでしょう。今後も野球に限らず、女性が男性と同じくらい活躍できる場所が増えることを願うばかりです。
2021年11月13日 18:48 | カテゴリー:逸球入魂コラム