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ミスター・パーフェクト

相変わらず忙しくてバッタバタしておりますが、そんな忙しさの中で忘れてしまわないように心にとどめておきたいことが、ひとつあります。ちょうど1ヶ月前、私たちの仕事仲間が天国に行きました。つい最近まで、一緒に働いていたパートスタッフの方です。彼とは10年近くの付き合いになりますが、その仕事ぶりは「完璧」、まさにミスター・パーフェクトでした。印刷の仕事には「校正」というものがあります。原稿の文字と、印刷物の文字が間違っていないか、一字一句チェックしていく作業です。多いときには300ページにも及ぶ文書を見ることもありますが、彼はその校正のスペシャリストでした。一字一句のミスがまったくない上に、文字や言葉の意味、歴史背景、その全てを知り尽くした上で文章や文字のチェックをしていくのです。どんな精巧なマシンも彼には及ばないほどで、100%信頼できる仕事人でした。彼という存在がこの世からいなくなったということは、とてつもない人材を失ったということです。普段からもの静かで口数少なく、周りに気を配り、決して前に出ようとしない謙虚な職人さんでした。病気がわかってから、どう接していいかわからず、何度かメールなどのやりとりをしたものの、まったく十分なことができなかったのは、たぶん、彼という存在を失う恐ろしさを私が直視できなかったからなのかもしれません。朝、まだ誰も来ていない会社の玄関をいつも掃除していた彼の姿が、いまでも思い出されます。仕事でも、生き方でも私は教えてもらうことばかりでした。もし、何かのご縁でこの文章を目にすることがあれば、こんなめっちゃめちゃスゴイ人がいたんだ、ということを知っていただければ幸いです。いつか彼の功績に光が当たりますように。